医療機関は規模や開設者の違いだけでなく、機能によってさまざまな性格付けがされています。数ある医療機関のなかでも、最先端・最高レベルの医療を提供する役割を担うとされているのが医療法で定める「特定機能病院」です。病床数400床以上、医師数が通常の2倍以上といった外形的な基準に加え、高度な医療の提供のほか、医療技術の開発・評価・研修を実施する能力が求められています。指定を受けると、診療報酬などの優遇を受けられます。また、全国どこでも一定水準のがん治療が受けられるように、地域間格差をなくす目的で設けられたのが「がん診療連携拠点病院」です。がんの専門医がいることなどを要件に、全国を約400の地域に分けた「2次医療圏」に1つを目安に、国が指定します。「地域医療支援病院」は、地域の診療所から紹介患者を受け入れることで、地域医療の中核になることを目的としたものです。これらの医療機関は、指定を受けることで、診療報酬の加算などを受けられるメリットがあります。このように、専門的な役割が期待される医療機関の指定があるわけですが、特に地方では中核となる医療機関の数は限られていて、同じところがいくつもの機能指定を受けているということが多くなっています。また医療レベルの底上げをねらった医療機関では、単独のところでは条件を満たすことができない地域もあり、要件の緩和が図られました。医療機関は、災害時にも中心的な役割を果たすよう、救急診療棟が耐震構造であること・ライフラインの維持機能を持つことなどが要件です。